リフォームで古きものを新しくする、この魅力はただ直すというだけでは説明がつきません。新築のあたらしさは、どんなものでも、確かにすこし高級にみえるかもしれないけれど、肌になじむのにはそうとう時間がかかります。なんかモデルルームにきたかのような、バブル時代のドラマに迷い込んだかのような、よそよそしさがしばらくの間は付きまとうのです。パッケージされた、だれもが一緒のつるつるの美しさ。

リフォームのよさは、人とすでになじんでいる空気に、自分の好みの新しさを付け加えることではないでしょうか。新しい機能と、自分の好みの色や素材を、必要なところに新たに配置しながらも、できたときにはすでに、長いこと時間をともにしたかのような空気がそこに漂うのです。お金の安さも魅力的です。耐久年数は部位によって違います。

耐久年数の短いところを、必要な時期に少しずつ手を加えながら、思いのつまった空間が長く続くように工夫を重ねていくのです。次々と生まれ変わることもいいかもしれないが、思いを引き継ぎ、次につないでいくことも、人生を丁寧に生きていくための大きな力にもなっていきます。ひとつの家の伝統が、ひそやかにではあるけれど、すんでいる住人にとっては太く心のよりどころとなり、次につなぐための人としての覚悟が培われていく。規模は小さいけれど、ささやかな文化の継承が行われているように思われるのです。